□宗次郎の嘘
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「まだ治ってなかったんですか?あれほどは医者行きましょ?って行ったのに。俺の歯は不死身だーっとか言ってたけど。まさか、本当に行かないなんて・・・先輩って本当に子供ですね」

「うるせーよ、だいたいだな「ほんまそうやんねん。この子。この年になって歯医者恐いって言うねんで、どう思う?」

「俺が今しゃべってただろうが!!この「僕でもいけるのに。本当に先輩は可愛いですね。気持ち悪い」

「何が気持ち悪いじゃ!!!お前だって「もっと言ったって!!!あ。そろそろ店に戻らなあかんのよ。ゆっくりしていってね。」

「は〜い。」


俺がしゃべっているのに・・・

二人は真実のことは無視して話を終わらす。

母が話を聞かずに話しだすのはもう慣れていたが、久しぶりにやると疲れる。

宗次郎はニコニコと母を見送ったあと置かれていたどら焼きに手の伸ばした。


「先輩って本当に馬鹿ですよね。知ってましたけど」

「うるせーな。なんで来たんだよ。学校は?」

「ん〜・・・休みじゃないですか?僕知らないですけど。はい、あ〜ん」

「は?」


目の前に差し出されたのはどら焼き。

宗次郎はニッコリ笑う。


「僕、あんこ嫌いなんですよね。」

「は?」

「はい、勿体ないから食べてくださいよ」

「俺虫歯なんだけど」

「・・・いいから、あ〜ん」


ま、一口ぐらいいいかな。

糖分不足だったので真実は素直に口を開いてパクっと食べる。


「いっっっっ!!!!!!」

「あははは。」


口を押さえて悶絶している真実を見て宗次郎は腹をかけて笑いだす。

そして、残りのどら焼きにかじりつく。


「な〜んて嘘ですよ。先輩。僕、生クリームよりもあんこやみらたしのほうがだぁい好きですから。」

「このっ・・・・」


涙目で睨むしかできなかった真実なのであった。







END
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