幻水 ティアクライス小説

□願い
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できることなら ずっとそばに



「うーん、今回は・・・・。」
誰か行く奴いるかなぁ、と
ロウは少し悩んでいた。

今回の行き先は、チオルイ山。
特に敵が強いというわけではなかったが、
なんといっても寒い。

「雪女を捜すだけなんだけど・・・
皆寒いの嫌だとか言うしなー・・・」

前回、大雪の山の頂上まで登った時は
リウなんて死にかけだった。
(さすがにあの服だけじゃ寒いとおもって
上着も用意したのになぁ・・・)

だから、今回も・・
『えー・・・俺行きたくない・・・』
とか言うかもしれない。

「うーん・・・・。」
言われるのをわかっていて言いに行くのも嫌だった。

「別に一人でもいいんだけどな・・・。」
そう思っていた時に。

「あ、ロウ殿。どこか行かれるのですか?」
「アスアド。・・ちょっと雪山に用事ができてさ。」

「皆寒いのが苦手だって言うから、
俺一人で行こうかと思ってたんだけど。」

そう言うと。

「あ、では俺も一緒に行きますよ。」
すんなりそう言われた。
「え!? でもお前、そのかっこじゃ寒いぞ・・・?」
「さすがに上に着る物を持って行きますよ。」

でもアスアド、一番寒いとこ苦手そうだし・・・・
とは、言えなかった。
こうもやる気で言われると、断りにくい。
というか、断れなかった。
「んー。じゃあ行くか。ただし、十分準備してくれ。」
「えぇ、では少々準備してきますね。」

そう言って部屋に戻っていった。
大丈夫かなー。
まぁ本人が大丈夫って言ってるから、いいか。


しばらく待つと、大きなモフモフローブをかかえたアスアドが来た。
右手にはホウキ。

「おまたせしました、行きましょうか。」
「おぉ、それならあったかそうだなぁ。」
モフモフだ。

「この前、テハの村に売っていたので買ったんですよ。」
そう言ってローブを広げて見せた。
いつのまに買ったのか。

「なんか、ごーかな服だなー。」
袖や足元に細かな刺繍がしてあり
フードには毛皮らしきものがついていた。
もさもさの毛かな・・・・。


「アスアドに似合いそうな服だな。魔道士っぽくて。」
「魔道士っぽい・・・ですか?」

魔道士っぽい、という基準がよくわからないのですが・・・
とアスアドが言う前に。

「あぁ、いいなそれー。」
俺も着てみたいなー。
と言われて、言えなくなった。

「ロウ殿にそういわれると、嬉しいですね。」

(ロウ殿に言われたら、嬉しいに決まってる。)
その笑顔はいつも心に響く。
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