幻水 ティアクライス小説

大浴場編
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「はぁ〜・・・。」

今日の天気は雨。
雨に濡れて冷えた体には
この瞬間はたまらなかった。

「やっぱ風呂さいこー・・・。」

顔のすれすれまで浸かると
どんどん体が温まっていく。

そこは城の大浴場だった。

今日もようやく女用から男用に切り替わって
その一番風呂。

大きな動物の口からがばがばとお湯がでていた。


(気持ちよすぎて寝そう・・・。)

風呂場の扉が開く音
誰か入ってきたようだ。


「ん、ロウじゃないか。早いな。」

ロベルトだった。

「ぶくぶくぶくぶく。」

口まで浸かりながら返事をする。

「・・・・・何言ってんのかわかんねーよ。」

そりゃそうだ。




その後、
二人で風呂に入っていると
突然ロベルトに腕を掴まれた。

「な、何だよ。」

その掴んだ腕をじっと見つめながら

「ロウ、お前腕細いんじゃないか?」

なんで急にそんな事を言いだすのか、こいつは。

「これでも前よりは筋肉付いたんだけど。」

少しむっとして反発した

「そうなのか? でも俺に比べたら細いと思うが・・・。」

そういって自分の腕を見せた。

「むっ・・・。」

確かに、しっかりと筋肉がついている腕だ。
そこまで筋肉質というわけでもないが。

「よくお前、それであんなに剣を振り回せるよなぁ、と思ってな。」

「別に、俺じゃなくてクロデキルドだって細いじゃないか。
・・・あの姉妹だって俺と同じように剣を振り回してるだろ。」

「んー、まぁ、言われてみりゃそうなんだが・・・。」

ロベルトの手が離れる。

「俺、そんなに細いかなぁ・・・。」

風呂から体を半分だして、比べてみた。
・・・・・。
やっぱり、ロベルトのほうが体つきがいいんだよな・・・。

「俺もお前くらいの年になったら・・・。」

少しは強そうに見えるんだろうか。

「別に、お前はそのままでも十分だろ。」

「何だよ、細いっていったくせに。」

言い出した本人が、何を言う。

「いや、お前にこれ以上筋肉でもついたら・・・。」

(可愛くなくなるだろ!!!・・・・なんて言えるわけ、ないだろ。)

ロベルトの顔は、茹ったくらいに赤かった。
ロウの裸をじっと見てしまって。
(・・・・・・。こいつが風呂に入ってる時は、危険だ・・・。)
それはもう色々な意味で。




「・・・何だよ、お前俺に負けたくないのか?」

「別に、そういうわけじゃ・・・。」

ないんだが、と言おうとして、やめた。

もう、それでいい。そのほうが都合がいい。

「そっか。まぁ俺は今のままでも十分戦えてるからこれ以上筋肉ついてもなー。」

(さすがにムキムキになるのも嫌だし。)

ロウがこっちを向いて言う

「・・・なぁロベルト、大丈夫か? 顔真っ赤だぞ。」

のぼせたのか? 

そう聞いてくるロウの顔が近くて。

「いや、大丈夫だ。お前こそ顔赤いぞ。早く上がれよ。」

(今この状態じゃ、風呂から出られないな・・・・。)

必死で誤魔化した。

「あぁ、じゃあ先に出るけど。 本当にのぼせるなよ?」

そういい残して、ロウは去って言った。

(もう、のぼせてるよ・・・。
お前に。)

「はぁ。」

ため息をついた。
誰か入ってきたらもう出られない

それこそ本当に風呂でのぼせてしまうだろう。

外に人の気配がして、俺は急いで風呂から上がった。









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ぬたっく独り言
大浴場って変換しようとしたら
大欲情 ってでてきて危なかった。

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