幻水 ティアクライス小説

進入作戦
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コンコン。

ドアがノックされる。

「はい、どなたですか?」

「あ、アスアド?俺だけどー。」

ロウ殿の声だった

「わ、わ、今あけますからちょっと待ってください!!」

やばい、やばい!
手早く部屋を少し片付ける

「す、すいません、お待たせしました。」

「よ。ちょっといい?」

「あ、はい。」

ロウを部屋に入れる

(ど、どうしたんだろう、急に。)

あそことかあそことかに隠したあれやこれやが
どうか見つかりませんように・・・・。

俺があたふたしている間、ロウ殿が部屋の中をきょろきょろと見回す。

どうみても部屋で何かを探しているとしか思えなかった

「ロ、ロウ殿・・・・?一体何を・・・・?」

「あー、うん。部屋の見回りしてこいっていうから・・・。」

「見回り・・・ですか。」

見飽きたのか、ロウがベットの上に座り込む。

「・・・・お茶でも飲んで行きませんか?」

「へへっ、俺もそっちを期待してたんだ。」

全く、しょうがない人だ。

でもそう思われているのは嬉しかった。

「あ、では少々準備してきます。待っていてくださいね。」

「あぁ。」

そういえば、もらい物のお菓子もあったっけ。

上機嫌で、準備に向かった。




(・・・・。ごめんな、アスアド。)

本当はこんな事したくねーんだけど。

でも、お茶を期待していたのは本当。

部屋を見回す。

一番怪しいのは・・・あの写真だろうか。

クロデキルドの。

(・・・・・。はずかしくないのか、飾って・・・。)

そっと近づく。

(んー・・・。別に変なとこは・・・・。)

無いんじゃないか?と思ったが
よくみると、二枚ある。

ん・・・?何だこれ、
もう一枚後ろに貼ってあるのか。

めくってみる

そこにあったものに、俺はぼーぜんとした。

(・・・これ、俺じゃん・・・。)

俺の写真だった。

いつのまに、こんなものが。

(うー・・・。)

さすがに破るのはアスアドに悪いと思って。

(見なかった、事にしよう・・・。)

なんつーか、恥ずかしすぎて。

何で俺の写真はってあんの?
とか
聞けるわけもなかったけど。

そ、尊敬されてるって・・・・こと、だよな。

自分をムリヤリ納得させた。

あぁ、本当にごめんな、アスアド。



「お待たせしました。」

「あ、おかえりっ。」

平常心、平常心。

「ちょうどいい葉を仕入れたんです。どうですか?」

紅茶のいい香りがした。

アスアドが持つお盆の上には、お茶と。

「あ、何それ?」

「あ、これお菓子ですよ。一緒に食べましょう。」

「いいのか?」

「えぇ、もちろんですよ。」

嬉しそうに言うから。

結局お茶と一緒にお菓子まで食べて。

アスアドとなんでもない会話をして。

アスアドに対する罪悪感も、それに反比例して大きくなった。

(くっそー、やっぱ断ればよかった。)

断りきれなかった俺が悪いんだけれど。






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「おい、メルヴィス。」

「遅かったな。」

「・・・・・。」

そんなに恨めしい目で見ないでほしい。

「やっぱり断ればよかった・・・・。」

予想通りの結果だったようだ。

「何か、あったのか。」

聞いてみる。

「メルヴィスには教えてやらない!」

ちょっと、怒らせてしまったか。

「まぁ、そんなに怒るな。」

俺のベットを占領したロウは、
ひざを抱えて呟く。

「・・・・アスアドは、俺の事好きなのかな。」

(まぁ、そうだろうな。)

「・・・俺は負ける気は無いぞ。」

ロウは チラ、とこちらを向いて。

「その答えは、お前が知ってるだろ・・・。」

(もう・・・決めてるんだから。)

「嬉しい事を言う。」

口が笑ってしまう。

嬉しくて照れそうになるのをごまかして、キスをする。

その唇に。






「あー・・・それにしても、アスアドに何て言おう。」

「まぁ、気にしなくてもいい。」

今のこの状態を見せ付けておけば。

後ろにアスアドの気配を感じながら、二人で手を繋いで歩いた。

もちろん。わざと。
ロウは気づいていないけれど。





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すまんかった・・・
メルヴィスに謝るしか。
アスアドvsメルヴィス
ってだけで書いたらこんなになりました。
メルヴィスのキャラをもう少し固めてから出直してきます。
|λ... 

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