幻水 ティアクライス小説

マリカvsメイベル 〜恐怖の料理対決?料理の香りは危険な香り?〜
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「第1回!料理対決大会〜〜〜〜!!!!!」

わーわーぱちぱちぱち

観客はかなり多かった。

参加者(食べる方)の希望は0だったが。

「何で・・・・俺達がこんなことに。」

つぶやく。

「諦めろ、ロウ。マリカは・・・・本気だぞ。」

ジェイルに表情はなく、

「お・・・俺マジ死ぬかも。」

リウの顔はいつもより更に白く見えた。

食べる方の希望者が0だったため、強制的にマリカに連れてこられたのだった。

「ただいまより、第1回料理対決マリカvsメイベルを開始させていただきたいと思います。
司会はこの俺様・・・じゃなかった、私、ハフィンが務めさせていただきマス!!!」

わーわー。大きな歓声があがる。

(調子にのってんなー・・・ハフィン。)

別にいいんだけどさ。

ハフィンはノリノリで解説をこなす。

「えー、今回、解説者としてメルヴィス殿と、アスアド殿と、ワスタム殿にお願いしたのですが、
ワスタム殿は見ているだけでも無理という言葉を残しどこかに消えてしまったため、
急遽ノムノが参加していますっっっ!!」

「つーかノムノじゃ何いってんのかわかんねーぞ?」

俺が突っ込むと

「そー思ってネムネさんを呼んでいます。」

「ハーイ!元気してる〜♪」

「・・・あ、そう。」

大丈夫なのか?

「えーでは、メルヴィス殿から一言どーぞ。」

「はい・・・・。えー、今回は料理対決ということで−−−」

メルヴィスが真面目な顔で話を始める。が。

「姫様・・・いえ、クロデキルド様も稀に料理をしてくださるのですが、その味は格別で−−−」

おいおい、関係ない話になってるぞメルヴィス!

「・・・・・・はい、ありがとうございました。」

ハフィンはさくっと切り捨てた。いいノリだ。

「えっと、アスアド様何か一言どうぞ。」

「え、あ、私ですか。えーと。死なないでください。以上です。」

そういって座ってしまった。

「はい、ありがとうございましたー。」

それだけかよ!死者がでる料理対決って何だよ!!

「えー、では。今回参加されるマリカ殿と、メイベル殿の入場です!!」

ぱちぱちぱちー

「いえーい! マリカ登場っ! 頑張るんだからっ!!」

あまり張り切らないで欲しい。

「ロウ!!私の愛を受け取って!」

いや、いらないから。


そんな二人が料理対決。

とりあえずマリカの結果は目に見えているが・・・・

メイベルもどうなのかが心配だ。

「俺達・・・・生き残れるのか・・・?」

リウが呟いた。

「・・・・・。」

ジェイルは無言だ。

「今回は万全を期して、救急医療チームをあちらのほうに待機させてあります。ご安心ください。」

ハフィンの説明に、マリカが反応する。

「ちょっと、どういう意味!?」

「いえ、万全を期してなので。火事とかですよ火事とか!」

「あ、そっかー。さっすがー!」

中々やるな、ハフィン。



こうして、料理対決は始まってしまったのだった。

カーン。


「やっぱ料理対決っていったらこの音ですよねー。特別に用意してもらったッス。」

「準備するのはかまわないんだが、この参加者はどうにかならなかったのか?」

こっそりとハフィンに告げる。

「まー今回この大会を開こうって言い出したのがあの二人なんで・・・。」

「そっか・・・。」


「えー、とりあえず今の状況を説明していきたいと思うッス。」

まずマリカのほう。

「あ・・・・あの材料はっ!!?」

ハフィンの驚く声。

「な、何なんだ、その材料って。」

驚くようなものなのか? あ、あまり聞きたくないような気がした

「いや・・・・俺も知らないっス。」

「知らないのかよ!!!」

「見たことのない材料なんで・・・。申し訳ないッス。」

見たことのない、材料。

その言葉を聞くだけで俺達の寿命が縮む気がした

「ぐ〜〜〜〜〜。」

ノムノの反応があった。

「何ていってるんだ、ネムネ?」

「えっとねー、あれは、××○△イカだって言ってるよ〜♪」

「何だ、それ・・・××・・・・?」

「××○△イカだよ〜♪ 食料用じゃないねっ♪」

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

そんなに軽く言わないで欲しかった。

ていうか言わないで欲しかった。

マリカは真剣すぎて聞こえていないようだ・・・。

俺とリウとジェイルは無言。暗い雰囲気が漂う。


「え・・・っと、じゃあ次にメイベルさんのほうを見てみましょう。」

気をとりなおして。

「おっと、これは何ですかね、貝のようです。」

「ホタテ・・・ですね。」

アスアドが呟いた。

「それ以外にも野菜やら何やらを切って、鍋に入れています。」

どうやらメイベルの材料は普通のようだった。

これは期待してもいいのだろうか・・・?

次の瞬間。

「おっと、メイベルさんは”水”を鍋に追加っ。そして何らかの粉を入れたーっ。」

そこは解説者として盛り上がる所だったのだろうか。

「何らかの粉・・・?」

「こっからじゃよく見えないっすね。何ですかねー、あれ。」

聞けない。怖くて聞けなかった。

しばらくして。

「できたわっ!!!」

「できたーっ!!」

二人の完成の声。

そしてそれは、俺達にとっては死神の宣告のように聞こえた。



「ではさっそく、完成した料理を見せていただきましょう。」

まずメイベルから。

「おっと、これはクラムチャウダーですか?」

「そうよ。寒い国ではこれをよく作るらしいわ。」

愛を込めてつくりました、とメイベルが説明する。

俺は思った。

(あれって、普通牛乳使うんじゃなかったっけ・・・。)

確か、メイベルは白い粉を・・・・

やめよう、今考えてももう遅い。

きっと牛乳を粉にしたようなものに違いない。うん、きっとそうだ。


「えーっと、では次にマリカさんの料理を・・・・。」

「・・・どう?」

そこにあったのは。

「えー・・・っと、題名・・・は・・・?」

「イカの○×△ソテー。」

黒い物体だった。

「・・・・・・・・・あ、ありがとうございました。」

ハフィンは無言で司会者席に戻る。

そして。

「えっと・・・・次に、試食・・・なんですが。」

チラ、とこちらを見ている。

「ハフィン・・・今までありがとう。だが、俺達は既に覚悟はできている。」

「あぁ・・・。全力で挑むだけだ。」

「うぅ、死にたくない・・・・。」

今これを食べなければ、マリカの弓に本気で狙われるだけだ。

ならば。

「食べてやるさ・・・!!!全力でな!」

そうして、とりあえずメイベルのクラムチャウダーっぽいものを一口。

「・・・・・甘っ!!!!!!!!!!!!!!」

「・・・・・・。」

「う・・・・・・うp。」

吐くな、吐くなよリウ。

必死で耐える二人。

「どう、ロウ?私の愛の味・・・・。」

「まずい。」

「ガーン!!!!!」

あの粉は砂糖だったのだろう。
めちゃくちゃ甘かった。

とりあえず死ぬほどではないが。

よかったなメイベル。まだ改善の余地はあるぞ。

そう思った。



「じゃ、じゃあ、いっせーの、だからな。」

「あぁ。」

「うううー・・・。」

次に、マリカの分。

「いっせーの・・・。」


ぱくり。

味はしなかった。

意識が吹っ飛んだから。






----3日後----

「う・・・・。ここは・・・。」

「・・・・無事か、ロウ。」

ジェイルが隣のベットから話しかける。

「あ、あぁ・・・・えっと・・・。」

「うう・・・マリカの料理、最強・・・。」

ジェイルと反対側のベットから、リウがこちらに話しかけてきた。

そうか、マリカの料理を食べて・・・・

(まさか、一瞬で意識が吹っ飛ぶとは。)

「あー・・・嫌な夢でも見てた気分だ。」

「夢だったら、まだマシなんだがな・・・。」

ジェイルがため息をついた。


「あっ、皆起きたの? まったくもー、食べすぎで意識無くすなんてー!」

「「「・・・・。」」」

絶対違う。けれど、3人は何も言えなかった。

「また今度作ってあげるね!」

マリカは、にこっと笑って言った。

(次は、絶対に逃げよう。)

そう今まで何度思った事だろうか。





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意外と長くなったな(笑)
もっとアスアドを活躍させる予定だったのですが・・・力つきました。

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