幻水 ティアクライス小説

心配させないで?
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ある日の戦闘中。

「っ・・・・・・!」

ミスって敵の攻撃をくらってしまった。

しかも状態異常、沈黙付きだ。

(くそっ、声がでねぇ・・・・!)

「ロウっ、大丈夫かっ!?」

前にいたシャバックが、こちらを振り向く

(あっ、馬鹿シャバック、前・・・・・っ!!!!)

シャバックの後ろには敵が迫っていて、その敵が剣を振りかぶる。

(こんなときに・・・・!)

声がでない。

危ない、と。その一言でいい

それができなくて。

(シャバック・・・・・・・・っ!!)

「・・・・なっ・・・・!」

シャバックが敵に気付く。

が、遅い。

ヤバイ。間に合わないっ・・・・・!!!

次の瞬間。

剣と剣がぶつかり合う音。同時に、剣を弾く音。

無意識に目を瞑っていた。

目を開けて、視界を取り戻す。

敵は倒されていた。シャバックには怪我もなさそうだ。

「シャバック、無事っ?」

「姉貴っ・・・・!」

シャバックの前で剣を弾いたのは、フェレッカだった。

「ごめん、助かった。」

「ほら、しっかり。シャバック。」


俺は、シャバックが生きてるのを確認すると

足から力が抜けて、その場に座り込んだ。

(・・・・・っ、よかった・・・・っ。)

「ロウ・・・・ごめん、大丈夫か・・・・?」

それに答えようとして、気付く。

(・・・・。声が、でない。)

もう治ってもいい頃なのに。

「ロウ・・・・?どうしたんだ・・・?」

シャバックに心配させたくなくて。

ムリヤリ笑いながら、無事でよかった、といおうとしたけれど

口からは音がでてくれなかった。



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「・・・・・・強いショックによる一時的なもの、か。」

となりに座っているロウに呟く

「ごめん・・・、オレの、せいだよな。」

ロウはこっちを向いて笑っている。

大丈夫、そのうち治るって。

きっとそう言おうとしてる。

いつもと同じ笑顔でも

(声が聞こえないだけで、こんなに寂しいとは思わなかったな。)

「ごめん・・・・。」

さっきからずっと謝ってばかりだ。

一時的なものだから、大丈夫といっていたけれど

それでも心配で、心配で。

それがオレのミスのせいだと思うと。

「・・・・・・。」

ごめん、ともう一度言おうとしたところに

急にロウがキスをしてきた

「っ・・・・ロウ・・・!?」

目を瞑って、一生懸命に、慣れない口づけを

「・・・・っ。」

こちらから舌を入れてやると、ロウはため息を漏らす。

その息遣いだけが聞こえる。

ロウは唇を離し、少し潤んだ瞳でこちらを見ていた。

いつものように、笑って、

(大丈夫だから。)

そう言っているのが、目を見てわかった気がした。

「ありがとな、ロウ・・・・。」

オレももっと強くならないと。

お前に心配されないくらい、強く。



そして今度は、こちらからキスをする。

その目は、反則だ。




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シャバ主祭り!!!
そんな感じです
ところで・・・
シャバックがフェレッカを呼ぶときは
姉貴であっていたっけ・・・?
姉さんだったっけ?
ワカンネ・・・。

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