幻水 ティアクライス小説2

□カウントダウン
1ページ/1ページ




最近、気付くとツァウベルンが近くにいて。

何かと話したり

二人ででかけたりして

それは、ツァウベルンがどういう気持ちでそういう事をしていたのかなんて

俺は全然考えた事がなかった。


今までは。


「な・・・・にするんだよ、ツァウベルン・・・。」

何だろう、この状況。

壁際に追いやられた俺は、段々と近づいてくるツァウベルンのただならぬ雰囲気に

どうしたらいいのか、わからなくて。

「ずっと・・・・私は君が好きだったんだ。」

そう、呟きながら、近づいてくる。

「だ、だから・・・・好きって何だよ・・・俺は・・・!」

「君が男だとしても。」

あぁ、この気迫のような、よく分からない雰囲気は何だろう。

動けなくて。

「お・・・おい・・・。」

いつもより、いつも以上に真剣な顔をして

なんだか、そこから逃げてはいけないような気がして

「だから、君の返事が聞きたいんだ。」

既に目の前に、ツァウベルンの顔があった。

もう少しで、俺の顔に届きそうな距離まで。

「返事・・・・って・・・・。」

何の返事だよ、と。

最後の最後までわからないフリをした。

だって、答えられない。そんなの。

ツァウベルンは、いつかここから去っていってしまうんだから。

だというのに。

「私は君の事が、好きなんだ。君は・・・私の事をどう思っている?」

「俺・・・は・・・。」

嫌いじゃ、ないよ。

そんな答えじゃダメなんだろうな、と思った。

でも、今の俺は・・・ツァウベルンが好きなのか?

そう考えると、俺にもよくわからなくて。

好きって、どんな感じなんだろう?

「ほら、あと10秒で答えないと・・・キスしちゃうよ。」

「な・・・んで・・・。」

なんで10秒!?

えーと、えーと。

・・・・・・・・・・・

「10、9、8・・・・。」

カウントダウン。

だめだって、分からないって!

「7、6、5・・・・・・。」

「お、俺・・・・。」

自分の中の考えが、全くまとまってくれなくて

そんなの、考えられるわけないだろ・・・・! この状況で!!

「4・・・・。」

あぁもう、ツァウベルンの馬鹿!!!

そう思って、勢いでツァウベルンに向かって拳を突き出したが

スカッ

その拳はあっさり避けられた。

同時に、ツァウベルンの包囲から解かれる。

「おっと。」

バランスを崩した隙に、ダッシュで逃げた。

答えから。

自分の気持ちから。

未来の不安から。


でも、もう、

心の奥のほうでは気付いていたのかもしれなかった。







「・・・・・。続きは、3秒からだからね。」

手ごたえを感じながら、ツァウベルンは呟いた。

あと少し。

3秒唱えたら、彼は答えてくれる気がした。






-----------------------

もはっ。
何がしたかったのかというと
迫られて焦るロウがかきたかったのです

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ