幻水 ティアクライス小説2
□気付いてる?
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それは、いつからだったか分からない。
いつのまにか・・・。
会議が終った後、内容を確認して紙にまとめているリウを
ロウの指定席からぼーっと眺めていた。
「・・・・どうしたんだよロウ。ぼーっとして。」
「んー・・・・・別に。」
別に、なんでもない。
自分でそう思っていた。
「あ、そうだロウ。俺ちょっと明日から暫くでかけるけど・・・。」
「・・・・・あぁ。・・・・また帰るのか?」
スクライブの村に。
リウは長なのだから、仕方ない事だ。
「まぁね。ちょっとレン・リィンに用事ができて。」
「・・・・・・・。分かった。行って来いよ。」
あ、まただ。
・・・痛い。
俺は椅子から立ち上がり、リウと反対の方向を向いて、歩きだす。
そりゃ、リウがいないのは寂しいけど。
だって、しょうがない事なんだから。
俺がなんて言おうと、リウは行くだろう。
リウが何か言っていた気がしたけど
聞こえなかった。
頭に入らなかった。
どうしちゃったんだろーな・・・俺・・・・。
気付かない。
気付かない振りをしているだけかもしれない。
気付きたくない。