幻水 ティアクライス小説2

本当の気持ち
1ページ/1ページ




ロウ達がようやく戻ってきた。

その知らせは、すぐに城中に広まって

城を覆っていた暗い、不安の空気は

ロウが帰ってきた事で一掃されたのだった。




「ようやくお帰りか。」

「ロベルト・・・・。」

廊下の壁によりかかって立つロベルトは、こっちを見ない。

「全く、姫様まで巻き込みやがって。」

「・・・・悪ぃ・・・。」

ロベルトはうつむいたまま。

俺はなんとなく気まずくて、立ち止まった。

あやまったほうが、いいよな・・・。

何て言おうか、考えていると。



「・・・・お前が無事でよかった。」

ぽつりと、ロベルトがそう言った。

ロウが、ギリギリ聞き取れる声で。

ロベルトはそのまま俺と反対方向を向いて

「お前が居なくなったら困るんだよ。皆も・・・・俺も。」

・・・・・あー、何か久しぶりにロベルトが正直だ。

顔がにやけるのを感じた。抑えられない。

少しずつ、歩きだす。ロベルトに向かって。

歩きながら勢いをつけて、そのまま


がばっ!!!

後ろから思い切りロベルトに抱きつく。

倒れそうになりながら、なんとか耐えたロベルトに、言ってやる。


「ただいまっ!!!」

「・・・っ、おい、行き成り抱きつくな・・・!危ないだろ・・・!」


いやさー、だって何だかうれしくて。

何がって・・・・ロベルトがデレた・・・いてっ、叩く事ないだろーー!

いつもデレるくせに。


「馬鹿、こんなこと言うのは、お前に対してだけなんだからなっ!!」

さりげなくすごい告白をされた。

いやでも、ロベルトが気づいてないだけで結構デレたりしてるんだけどなー。

そう思いつつ。 頭の中でその台詞をリピートする。

『お前だけ』

あぁ、もう一度告白された気分。

それがまたうれしくて。


抱きついたついでに、ロベルトの背中によじ登っておぶさる形になる。

「ロベルト、このまま俺の部屋まで連れてってよ。」

そんなわがままも

「ふざけんな、自分で歩け!!!」

「嫌だ。疲れたーー。」

ロベルトはいつも、結構簡単に折れてくれたりする。

俺の顔はにやけてるけど。

「絶対嘘だろ・・・・。」

ぶつくさ言いながら、ロベルトは俺を背負いながら歩き出した。



・・・・心配、かけてごめん。

あと・・・・ありがとう。

大好き。



言葉にするかわりに、

ロベルトの背にぎゅっと捕まって

その肩に顔をうずめた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ