幻水 ティアクライス小説2

□手伝ってあげる
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城での雑務をこなすうちに、ロウはいつのまにか寝てしまっていた。

顔を支えた腕が痺れて、がくっとなって目を開ける。

「・・・・っ・・・と・・。」

しばしばと何度か瞬きをして、ぼやけた目がはっきりすると、

目の前にいたシャバックと目が合った。

にやにやしながらロウを見るシャバックを見て、

「・・・・・俺の寝顔なんて見てて楽しいのか?」

とりあえずそう思った。

「うん、結構楽しい。」

あまり意外性のない答えだな、

答えながら、ロウは背伸びをして眠気を覚ます。

「あ〜〜〜机に座ってばっかいたら体が鈍るなー・・・。」

今日も終りそうにない仕事。

毎日やっていればこんなことにならないのは分かってる。分かってるんだぜ?

「シャバックーちょっと手伝ってくれ・・・。」

一度のばした体をもう一度机の上にぐったりさせながら、ロウは少し上目使いにシャバックを見る。

「む、ロウ、それはちょっとずるいんじゃないか?」

俗に言うおねだりという奴だ。

「終ったら何かお礼はするからさ。」

「まぁ、ちょっと手伝ういいけどね。」

シャバックの笑顔返し。

それに少しノックアウトされそうになりながら、ロウは笑ってごまかした。

そのお礼も予想はついているわけだし。

「最近お礼もありがちになっちゃったから、何か新しいの考えようかと思ってたんだ。」

「・・・・ふぅん・・・?」

なんだかシャバックは期限がいい。

そういう時は、結局俺が大変になった記憶しかねーや、と思いながら。

「とりあえず、前払いでキスもしてもらっていい?」

「・・・・前払いって・・・。」

言い終わる前にシャバックのほうから口づけをされて、ロウは顔を紅くした。

「さて、さっさと終らせないとな。」

「・・・・・。」

・・・仕事どころじゃないんだけど、これじゃ。

ロウは熱っぽいため息を一つついた。

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