ペルソナ小説

□心の中の黒いそれ。
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独占欲


誰かを好きになった瞬間から
それは心の中で大きくなり始める

俺も。
いつのまにか藤堂が好きになってた。
でも、言えなくて
いえないままそれだけどんどん大きくなった。


こいつが俺以外の奴に笑いかけるのを見ると
それだけで胸が苦しくなる。
もっと俺にも笑顔を向けてほしくて。

いつも以上に馬鹿なことして。
勘がよすぎて逆に心配された。

心配される価値のない悩みなのに。
いえるわけがない。
お前を独占したいなんて。



今この時間だけは
お前は俺の物である気がした
下には奈々子ちゃんがいるけど。

風邪を引いて休んだ藤堂のお見舞い。
藤堂はまだ熱があるのか、苦しそうな顔をして寝ている。
まだ俺が来た事には気づいていなくて。

今なら他に誰もいない。
お前は嫌でも俺だけを見る事になる
それがどうしようもなく嬉しくて
そんな気持ちにどうしようもなく嫌になって

それでも諦められないから、
こうしてずっと眺めている。

お前がこんなにも俺の心の奥深くまで入るから。
俺はもうそれを手放せなくなってしまったんだ。


そっと顔を近づけて、
触れる程度の軽いキスをする

何の意味もないけど。


それほど深くない眠りだったのか、
藤堂がうっすらと目を開けた
「・・・・・・陽・・介・・・?」
なあ、藤堂。
そんな目で見られたら、
俺あんま我慢できる気がしない。

熱っぽい目はかなり艶っぽくて
さそってるようにもみえた。

軽く目をそらす。
「寝てろよ。大丈夫か?」
「あぁ・・・・。うん・・・。」
少し声が嗄れている。
「水、持ってきてやるよ。」
「・・・・悪ぃ・・・」

悪いも何も、具合の悪い時くらい
誰かに頼っても何も言われないんだ

今日は奈々子の親父さんがいないみたいだから
しょうがないか

そうやって藤堂のために水を汲みに行くのも
今は自分のためでしかなくて

恋ってこんな辛いもんだったかなぁ、とおもってしまう。

まだ言ってすらないこの気持ちが
行く場所をなくして俺を狂わせる。




俺だけを見るその目が
最高に興奮する

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