ペルソナ小説

□11月いつか
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奈々子ちゃんがさらわれた日。
その日は、藤堂にも焦りが見えて。
初めてだった、こんな無理をしてる藤堂を見るのは。

でも、そうだよな。
妹だもんな、家族だもんな。
どれだけ苦しいんだろう
俺だって、奈々子ちゃんがいないのは
とてもつらいけど。
ジュネスが大好きだって。
そんなやさしい気遣いができる小さな女の子。

藤堂はいつも一緒にいて
一緒に遊びに行く時はかならず
藤堂の後ろをついていって。
まるで本当の家族みたいだねって
はたからみてもそう思えた。

「藤堂、もう・・・これ以上はやばい。立て直そう。」
「・・・・・・・・。」
「藤堂。」
「あぁ・・・。今日はここまでにして、帰ろう?」
いつものように。そう言って。


その背中を見るだけで
痛々しいっていうか。
他のメンバーも皆気づいてる
きっと
でも藤堂はそれを顔に出さない。
絶対俺たちに見せようとしない。
リーダーだから?
それだけじゃない気がした。

なぁ、たまには俺達にも
頼ってくれよな。
つらかったら辛いって言っていいって
お前が言ってくれたように

今度は俺がお前を支えるから。



「お疲れ様。じゃあ、また明日学校でな。」
普段とかわらない藤堂。
「うん。藤堂君・・・・また明日。」
天城も、気づいてる
「明日も・・・・頑張ろう?」
里中も、辛そうだし
「先輩・・・」
りせなんか、心配で着いていきそうな雰囲気だ。

「大丈夫、奈々子は必ず助ける。そうだろ?」
決意したように、そう言って。
「ったりめーだ。必ず助けようぜ!」
少しでもお前の支えになれれば。

「んじゃ先輩、お疲れっス。また・・・明日行きましょう。」
完二もそういって家に帰り、
「藤堂さん、いつでも僕、手伝いますから・・・・。それじゃ。」
白鐘も心配そうに帰っていって

「じゃあな、陽介、クマ。また明日。」
そういって藤堂は一人で帰っていった。
「センセイ・・・・奈々子ちゃんがいないから、センセイは今日いえで一人クマね・・・」
「・・・・・・。」
いつもいた奈々子ちゃんが、いない。
それだけでもどれだけあいつの負担になるんだろう?
「なぁ、クマ。」
「なんだ、ヨウスケ?」
「今からあいつの家・・・行くか。」
「・・・・さすがヨウスケクマ。」

急いで藤堂の後をつける。
あいつを驚かせてやろう

こんなに辛いときだからこそ
俺らで支えてやらないとな。


クマと二人で藤堂の後を追いかけた。





藤堂の家の前に着いた。
ジュネスからは結構遠いんだよな、ここ。
電気はついてない。
まっくらな家に一人、
藤堂はかぎを空けて入っていく。
その後ろにそーっとついていって。

「ただいま。」
誰も居ない家のドアを空けて
藤堂がつぶやく
「・・・・おかえり!」
「お帰りクマー」

後ろから。

「・・・・はは、そうだと思った」
気づかれていたか。

「全く、もっとましな尾行をしろよ。・・あぁ、前も失敗してたな?洋介。」
「・・・るせー。いいだろ、別に・・・。」
「センセー、今日はクマたちここに泊まっていいクマ?」
もとよりそのつもりで来たのだが。
「・・・もちろん。」
「ウホホーイ センセイの手料理が食べられるクマ☆」
お前はそれが目的かっ

クマは先に家にあがっていく。
まったく、人の家に上がるのにちょっとは遠慮しろよな!
「何してんだよ、早く入れ陽介。」
「あ、あぁ。お邪魔しまーす。」

そいうって藤堂の前を通って家に上がる時。

「ありがとう。」

小さな声で言われて。

嬉しくて、おもいっきりの笑顔で藤堂に笑いかけた。

「俺達がついてるからさ! さ、はやく飯メシ!」

そのまま藤堂の手をひっぱって、家に上がる。
「ったく、人使いが荒い奴らだ・・・・。」
そういいながらも
楽しそうに笑ってた。

「ゴハンマダー?」
「クマ、はえーっつの!」
「分かった分かった。何か作ってやるよ。」


疲れてるのに、悪いなと思いつつ。

少しでも藤堂が元気になればいいなと思う
ご飯を作る背中を眺めて
さっきの苦しいような張り詰めた空気がなくなっているのを感じる


「まったく、藤堂は俺がこんなに愛してるのに、全然頼ってくれないしよー。なぁクマ?」
「そうよなー、クマもこんなにセンセイを愛してるのにクマー。」
「え、マジ? ちょ、お前がライバルかよ!」

「お前ら、勝手な事言ってばかりいると飯食わせないからな・・・。」

それをあきれたように眺めながら藤堂が言う
でもそんな照れた顔して言われてもなぁ(笑)



ご飯を食べ終ると、クマはすぐに寝てしまった。
こいつ、風呂も入らずに寝やがった。
明日ちゃんと入れよう

シャワーを借りて、ついでに下着も借りた。
・・・・べ、別に変なこと考えてないぞ

こたつの横に布団を出してもらって寝る事にした。
「・・・藤堂、無理するなよ。」
「分かってるって。もう大丈夫。陽介のおかげで。」
「・・・・・・おやすみっ。」
「あぁ、おやすみ、陽介。」

嬉しくて真っ赤になりそうな顔を隠すように布団をかぶった。
「・・・なぁ陽介。」
「んだよ。早く寝ろよ。」
心臓がばくばくする
「おやすみのちゅーとかはないのか?」
「・・・・お前、そういう事をさらっと言うんじゃありません。」

とかいいつつも
クマに気づかれないようにこっそりキスをした。

「・・・お前といると、安心する・・・。眠い。」
そういって、すぐに寝てしまった。

それを確認してから自分も眠りについた。

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一度は皆書きたいと思うのではないかと。
難しいところですね。そのうち直したいな。

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