幻水 ティアクライス小説

悩みと言い訳
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城の皆からいきなり告られまくったロウは、ついにキレた。

「っ〜〜〜〜もー嫌だっ!!馬鹿〜〜〜〜!!」

そう言ってロウは城から逃げた。

全く、しょうがないお姫様だ。

ツァウベルンは真っ先にお姫さまを追いかけたのだった。



回りまわって、グレイリッジ。

「うー、結構顔が知られてるなー・・・。」

それは当然の事だったのだが。

(俺が女だって自分で広めてるよーなもんじゃねーか・・・。)

少しずつだったが、俺が町を歩き回ってる間に噂は広まってしまっていた。

それこそ自業自得だ。

「はぁ・・・俺って馬鹿・・・。」

路地裏で一人うずくまって

(これからどうしよう・・・)

結局は城に戻るしかないんだけど、今戻るのは、少し、嫌だった。

(俺が女になったせいなのか。そんなに、女がいいってのか。)



急に女になって。それで?

これからは女として男と結婚して生きていけば、それでいいんだろうか。

(でも、確かに男だったのになぁ、ちょっと前までは・・・。)



「君・・・・・こんな所で何してんの?」

急に声をかけられて、顔をあげる。

目の前に、5〜6人の男達がたっていた。

「おっ、可愛いじゃん。」

「なっ・・・・・! ふざけんなよ、俺は・・・!!」

男だ、と言おうとしてはっとする。

今は、体はれっきとした女だった。

「おっと、強がってる顔もかわいいね。 俺達と遊ばない?」

人を見下すような目。ぞっとした。

「・・・・お前らと遊んでる暇なんてねーんだよ。」

言うだけなら強がれる。けれど。

(ヤバイ、今武器持ってきてねぇ・・・・・!)

こんな狭いところでは、逃げるにも逃げれない。

「そんな事いわないで・・・・さっ。」

どうしよう、そう考えていて行動が遅れた。

腕を掴まれる

「な、何すんだよ、離せよっ・・・・!」

「怒った顔も、そそるね。」

(この・・・・やろうっ・・・・。)

必死に振りほどこうとするが、全然だめだった。

体が、竦む。

「離せって言ってんだろ・・・・!」

そう言いながら、泣きそうになった。

怖くて。

(どうしたら・・・・っ。)

目の前の男が顔を近づけてくる。

(うわ、近づくんじゃねぇ・・・・!キモイんだよ〜〜〜!!)

誰か。

そう思った時。

ゴスッ

横から何かが飛んできて、男の頭に直撃した。

反射的に飛んできた方を見ると。

「ツァウベルンっ・・・・!」

「やれやれ、やっと見つけたよ。ロウ。大丈夫・・・・ではないみたいだけど。」

その顔には、いつもは見せない焦りが見えた。

探しに、来てくれたのだろうか。

「君達、覚悟はできているんだろうね?」

(怒ってる、確実に。)

ツァウベルンが腰の剣を抜いた。

思わず、叫ぶ。

「お・・・おい、殺すなよっ!?」

「私としてはあまり許したくないのだけれど、ね。大丈夫、手加減するから。」

ツァウベルンはどこまで本気なのか。

(まぁ、ロウの前でそんな事をしても、何の特にもならないからね。)

「な、なめてんのかこら!」

一人の男がツァウベルンに襲い掛かる。が、それをさらりとかわして

「よっ と。」

剣の柄の部分で相手の急所を突く。

「ぐえっ・・・・。」

ばたり。

あっさりと、倒してしまった。

「なっ・・・・・。」

あまりにも簡単にやられてしまった仲間を見て、

「に、逃げるぞっ・・・。」

男達はあっさり逃げていった。

「何だ、弱いじゃないか。」

ツァウベルンはそんな事を言っていた。

(・・・・助かった・・・・。)

心底、ほっとして。

「・・・・・よかった。君が無事で。」

ツァウベルンが近づいて来る。

「あ・・・・。」

声をかけようとして。

俺が今なぜここにいるのかを思い出す。

「・・・っ!!」

逃げようとして。

「・・・・ロウ。」

腕を掴まれる。

優しく。

でも強く。


「は・・・離せよ、ツァウベルン。」

「ダメだ、ロウ。離さないよ。」

力強い声で、そう言われて。

その声と手の暖かさのせいで

目から涙が溢れる

「まだ・・・・帰らないから。」

「理由を、教えて欲しいものだね。」

何も言わずに、出て行ってしまうから。

「皆、心配してるんだ。もちろん、私もね。」

「・・・・・・・悪ぃ。」

でも、やっぱり悲しかったんだ。

「俺の・・・・俺が男だった時間は、何だったんだろうって。
皆にとって、そんなに意味の無い物だったのかな・・・・。」


ツァウベルンの手が、腕から離れて

「すまなかった。」

その腕に抱きしめられる

「だが、ロウがあまりにも可愛い事を言うものだから。」

皆、ついたががはずれてしまったんだよ。

「かくいう私も、そうだった。」

ツァウベルンは、照れるように笑っていた。

(可愛いって、何だよ。男だったのに。)

そう思ったけど。

ツァウベルンの話が恥ずかしすぎて、笑ってしまう。

「そっか、俺、可愛いのか?」

「あぁ。自信を持っていい。」

さらに強く抱きしめられて

今どれだけ自分が愛されているのかが分かった気がした。



「性別なんて、関係ないのかなぁ・・・。」

だって、俺自身の心は男のままでも。

ツァウベルンがかっこいいと思えてしまうんだから





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暫くして、ツァウベルンは祖国からの手紙を破り捨てていた

「全く、父上も行動が早い。」

まさかこんなに早くロウのことが知られるとは思っていなかった。

まぁ、父上に心配されなくとも、ね。

「ツァウベルン、何してるんだ?」

ロウが部屋に入ってくるなり、そう尋ねてきた。

「・・・羊の餌を作っていたところだよ。」

細かくなった紙をかき集めて、ゴミ箱に捨てた。

「それで、今日は何の用事かな?」

笑いかければ、いつものように笑顔が返ってくる。





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スカートとかはいてたら・・・いいね。(*´Д`)・・・・。
途中ちょっと適当になってしまった
OTL

もっと色々考えてたんですけどねー・・・ははは

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