贈/宝
□とどかない心の声
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メルヴィス視点
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「それで、相談というのは何なのだ、メルヴィス?」
姫様に相談するのも、本当はとても迷ったのだが、
他に聞ける人がいなかったのだ。
「はい。その・・・・・。」
自分は どうやらサーキスが好きらしい。
その事に気付いてから、言うに言えなくて、ずっと悩んでいた。
「・・・・・・・・そうか、メルヴィスが・・・。」
「すみません、姫様、やはりこれは自分で・・・。」
自分で解決します、と言おうとしたけれど。
「いや、メルヴィス、強力しよう。」
メルヴィスは中々そういうものには疎そうだからな。
そう言って、クロデキルド様は笑っていた。
「すまない、メルヴィス。私は嬉しいのだよ。いつも自分の事を考えないメルヴィスがそういう事を言うものだから。」
「・・・・そうでしょうか。」
「あぁ、まぁ・・・女性相手なら問題はなさそうなのだがな。」
相手が相手だ。
(サーキス殿か・・・・まぁ、仕方あるまい。彼はとても魅力的だ。)
「だがな、メルヴィス。やはりこういう事は伝えてみるのが一番なのではないか?」
今までも何度もそう思いながら、言い出せなかったその一言。
「好きだ、と言ってやればいい。サーキス殿に。」
「姫様・・・・。そんなに簡単に、いかないのですよ。」
それができないから、相談しているんです。
「案外、弱虫だなメルヴィス。恋に関しては。」
「弱虫ですよ。俺は。」
弱虫にならざるをえない
嫌われたくない。ましてや、断られたらもうどうしたらいいのだろうとさえ。
(それだけ、好きなのですが・・・。)
その大きさゆえ、いいだせないのだ。
「ん・・・?あれは、サーキス殿ではないか。ちょうどいい。」
「・・・・クロデキルド様、・・・お、お待ちください・・・!」
「お前が言えないのなら、私が言ってやろう!」
慌ててそれを静止するため、追いかける。
結果。
「すまない、メルヴィス・・・」
「いえ、姫様のせいではありませんよ。」
一瞬、心臓が止まるかと思った。
覚悟ができていなかった。
(やはり、誰かに頼ってはいけないな。)
この気持ちは、自分で伝えなければ意味がないのだ。
「申し訳ありません、クロデキルド様。俺は・・・」
「あぁ、早く追いかけるといい。」
クロデキルド様は、そう言って励ましてくれた。
「頑張れよ、メルヴィス。」
「・・・・・はい。」
急いで、サーキスの後を追う。
俺の心を伝えるために。
(サーキス、貴方を愛しています。)