幻水 ティアクライス小説2
□10000ヒット記念フリー小説
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最近、ロウは前より強くなって。
俺はそれに追いつくどころか、置いていかれるような気がした。
どうすれば追いつけるんだろう。
ロウが稽古試合をしているのを眺めながら、そんなことばかり考えた。
「はぁ。」
こんなところでため息をついてるよりは、俺も稽古に混ぜてもらおうか。
そう思ったが、今日のロウはすでに結構疲れているように見えて、やめた。
(・・・・すごい運動量だなぁ・・・。)
見ていれば分かる。
俺だってあんなに動けないんじゃないかと思うくらい。
まだ、15歳だというのに。
「ふぅ。」
本日何回目かのため息をついた。
「ヨベル、ちょっと俺の相手になってよ。」
目の前に急にロウが立っていて
「うわっ・・・・びっくりした! べ、別にいいけど・・・・。」
ロウ、結構疲れてるんじゃない?
そう言ったけれど
「へーきへーき、本気でいくから、手、抜くなよ?」
「う、うん。分かった。」
ロウの目は、真剣だった。
焦って、いるんだろうか。
俺からしたら、もう十分だと思えるのに、彼は。
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「−−−−−−っ。」
「はぁっ、はぁっ・・・か・・・った・・。」
ロウに、初めて、勝った。
俺が?
「ヨベル、やるじゃん!」
「あ、ありがとう。」
俺は息が切れて、力が抜けてその場に座りこんでしまった。
「思いっきり運動した後は、軽く運動してから休まないといけないんだってさ。」
ロウが、言う。
軽い運動・・・・。
(俺との勝負は、軽い運動程度・・・・って事・・・かな・・。)
そうだよな、ロウは、俺なんかより全然強いし。俺なんてまだ。
「ほら、ヨベル、だから一緒にストレッチしよーぜ。」
ロウはそう言って俺に笑いかける。
「・・・・・・・・・。」
「なぁ、ヨベル。」
「・・・・・え、何?」
やばい。また深く考えすぎちゃったよ。
ロウが、俺を真剣な表情で見つめていた。
「お前さ、俺が本気じゃなかったと思ってる?」
「え!? いや、そんな事・・・・。」
あ、でも確かに、疲れてそうだなーとは思ったけど。
「俺、本当に本気だったんだぞ。・・・そりゃまぁ、疲れてはいたけど・・・。」
・・・・ロウには、気付かれていて
「・・・・お前、なんかあんまり嬉しそうじゃないからさ。」
「・・・ごめん、ロウ。」
嬉しいよ。十分。
だって、初めて勝てたんだから。
でも、できるなら
「できるなら、100%のロウに勝ちたいんだ。」
それが今の、俺の目標。
「・・・・へへっ、次は負けないからなっ。」
そう言って笑ったロウは、やっぱり俺のまだはるか先にいる。
「いつか、追いついてみせるよ。」
そのままロウのストレッチを手伝って、
以外と柔らかくなったんだぞ、と自慢げにロウは話してくれた。
俺も、毎日続けようかな。
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2位はヨベ主でした!
うちのサイトではまだこれが2個目です。
こ、こんな感じでいかがでしたでしょうか。
ヨベルも美青年ですよねーv