サイクル

□サイクル4
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「はじめまして、六道骸と申します」

六道骸と名乗った男はベッドの上で座っている僕に目線を合わせるように屈んで、手を差し出した。
握手…なのだろうか?白蘭が手を差し出した時と同じなのだからきっとそうなのだろう。








ということは







六道骸も僕の能力に興味があるのだろうか。だとすれば彼にも酷いことをさせられるのだろうか。







そんなのヤダ!!








パーン!!





僕は六道骸の手を払うと、ベッドから立ち上がり部屋のドアへと向かって歩いていった。








しかしそれは腕を掴まれたので叶わなかった。





「よろしいのですか?」

僕を捕まえている手が僕の身体へと伸び、身動きがとれない。

六道骸の腕はしっかりと僕の身体を拘束していた。

要するに僕は見ず知らずの男に後ろから抱き締められていた。

いくら能力を使っても彼には全く効果が無く、だからといってもがいて抜け出せる程彼の拘束は緩くはなかった。







「君はたしか、ミルフィオーレのモルモットなのでしょう?」


僕は驚愕した。やっぱりこいつ…ミルフィオーレの科学者なのか?
「なんでそのことを…ひゃ!?」


いきなりあろうことか耳朶を彼の舌で舐められた。はじめての感覚に全身に寒気が走る。



「僕が君を匿うと言ったら?」

耳元で囁かれ背中がゾクゾクする。

それにしても僕を匿う?ということはこいつはミルフィオーレのやつじゃないのか?



「君は昨晩、ミルフィオーレを脱走したサイコキネシスの能力者、雲雀恭弥ですよね。君については少々調べさせていただきました。」

彼は腕の拘束を解き、僕の肩を掴むと僕の身体を反転させた。
僕は彼と向き合う形になる。抵抗はできなかった…



「安心してください。僕はこれでも大きな組織に属していましてね。君一人匿うことくらい容易ですよ。それに…」


彼はクフフと独特な笑い方をした。僕はこの笑い方に不快感を覚えた。




「君は僕には敵わないのです。僕の手から逃れることはできませんよ」

悔しい!!今までこんな感情を覚えたことはなかった。能力があるから他人に敵わないなんてことがなかったから…


「よろしくお願いします。雲雀恭弥君」

不本意ながら六道骸との生活が始まった。
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