サイクル

□サイクル2
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誰もいなかったはずの丘に一人の男が立っていた。



暗くて良く見えないが、白い服を着ている。









僕ならわかる…









あれは…








白衣…











組織の人間だ!!




身体中が嫌悪で震えた。
科学者は虫ずが走る程嫌いだ!!
だって白蘭と同じ人種なんだもの。







「来ないで!!」

僕は入江の時と同じように、目の前の男をぶっ飛ばした。

















否、飛ばしたはずだった…










「!!…なんで…?」


男は先ほどと同じ位置に、何事もないように立っていた。



信じられない…




ちゃんと能力は使ったのに…







「おやおや…。君はサイキッカーでしたか」
男は平然と言う。

おかしいと思った。
組織の人間なら、一目で僕が能力者だって気づくはずだ。

なのにこの男は今わかったみたいだ。






気味が悪くてもう一度能力を使おうとした時…














「やめなさい。能力を乱射し過ぎです!貴方の身体に障りますよ!!」






グッ!!





男の言葉と同時に、心臓が金槌で打ち付けられたような激痛が走った。










そういえば組織の人間どもを飛ばすために、能力を使い過ぎたかもしれない…







それよりも何であの男はこんなに詳しいのだろうか…






薄れゆく意識の中でそんなことを考えていた。




傾く身体を支えようと腕が伸びてきた頃には、完全に意識を飛ばしていた…















男は腕の中の少年の頬を優しく撫でた。

「辛い思いをしたのですね…」










少年を抱えて帰路を急いだ
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