REBORN!

□C a n d y .
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『スパナぁぁぁぁ』

「………」

『暇なんだけど』

「…ウチは暇じゃないの」


さっきからこのやりとりが何度続いただろう。モスカをこれでもかっていうほどいじくり回している(あれ、いつものこと?)スパナはそろそろ心底鬱陶しそうな顔で言った。ん?これはモスカじゃない。今はなんだか手のひらサイズの小さいものをつくっている。あ、ちょっとにらんだ。ヤベ、そろそろ本気で怒られそう。さすがに空気が読めないわけではないので、わたしは黙った。


「………」

『(あーあ、暇だな)』

「………」

『(…おやつまだかな)』


まぁはしたないのだがお腹空いているのだから仕方ない。スパナには話し掛けられないから、そこら辺を勝手にがさごそと探す。ほら、スパナが飴つくってたじゃん。あれ美味しいんだよね。


『(あれ?どこ?)』

「………」


散々散らかっている部屋でそんな小さいものが簡単に見つかるわけもなく。でてくるのは設計図や螺旋、何か(大方モスカ)の部品ばかりで。


『(えーっどこだよー!)』

「………」


散らかっていた部屋をさらに散らからせていく。あああどこだよわたしの飴ちゃん!何でないのさっ!ああああ、


『いてっ』


飴が見つからなくてイライライライラしていたら後ろからこつんと少し小さいものがあたった。


「探してんの、それでしょ」

『え……うん』


相変わらず背中を向けて何かつくっているけど、スパナはわたしに対して言った。


「これ以上部屋、荒らされても困るし」

『(あうっ)』

「それ、あげるから、ちょっと待ってて」


後頭部にあたったそれをみると探していたスパナの飴で(しかもちゃんとわたしがすきなピーチ味)なんだよ、わかってじゃん。いつのまにむいたのか、スパナはわたしのほうをみていて。くそう、やられた。普段アレなくせに何でこーゆー時だけちょっぴりやさしいかなぁ。


「ウチ、早くおわらせて一緒にいてやる」

『…っ!』

「だから、ね」


何がね、だ。可愛いんだよ。こっちむいて笑っている顔が果てしなく憎たらしくていとおしい。どんどん熱が集まって、赤くなる自分の顔を見せたくなくて、ふいと目を背けた。スパナがそれをみてふと笑った気がした。

ぺり、とキャンディの包み紙を外す。口にした味は照れるほど甘かった。


















 a n d y .
(そういやさ、誕生日なんだってね)
(え?あ、)
(…忘れてたの?)
(…あはは)
(やる)

彼が差し出した手のひらにあるのは、螺旋や機械の部品を組み合わせてつくった、彼らしくてちょっぴり不恰好な指輪。

END.

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